2014年03月17日

仕事も家事も桃子

仕事も家事も桃子
ある日急に、自宅の和室の畳の並び方が前と変わったような気がして、なんとなく畳を持ち上げてみたらそこにあった古新聞が気になり、さらにその下の床板をどかして地面を覗いてみたくなって、ある時とうとうチェーンソウを買ってきてしまう恋上一种风景。そうして床板を切った後は、今度はその下が気になって土を堀り出しはじめ……という結婚8年の主婦?桃子が主人公の『愛に乱暴』(吉田修一)を読んだ。久しぶりに一日で読みきった。

1ページ目に始まる愛人の日記がいきなりあからさまで、正直言って選ぶ本を間違えたかと思ったのだが、愛人と妻の日記を交互に読まされていると思っていたら、そこにからくりがあり、それに気づく頃には結末が気になってぐいぐい読まされていた The hour of departure

仕事も家事も桃子は疎かにしていない。同じ敷地内に住んでいる姑にも気を遣っているし、入院している舅の世話もしている。その姑はちゃっかりしていて、桃子に毎回ゴミ出しをしてもらってありがとうも言わない。息子のことは未だにマー君と呼んでべったり。そう呼ばれて平気な桃子の夫?真守は Silence blooming、浮気がばれるやさっさと愛人宅に行ってしまう。しかも愛人は妊娠していて生むつもりでいる。徐々に徐々におかしくなっていく桃子。

元々は他人同士。一度信頼関係の崩れた間柄は、互いにその裂け目を隠し繕っている間はどうにか保てても、一度露呈させてしまえばもう崩壊していくばかりだある人が耳を傾けてか
実は桃子にも信頼を裏切る心当たりがないわけではなかった。
立ちはだかっている壁の前でチェーンソウを構え、どこからか切り込むことはできないかと裸足で駆けまわっていた桃子は、やがて、自分で別の壁を作り始める……

どうしてそこでそうなっちゃうの?!という登場人物に対するイライラ感は、吉田修一さんの他の作品にも通じるもののような気がする。その狂気が分からなくもない、と思ったりもする幸福的笑容。読み終わる頃には自分も走ったように疲れていたけれど、それは一気に読んだせいかな。
最後に少しだけ救いがあった。




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Posted by ゃはねのは at 16:44│Comments(0)ひねは
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